JOMO童話賞選考委員からのコメント

選考委員の先生から、これから童話を書こうと思っている皆さんにひとことずつコメントをいただいています。
お話づくりの参考にしてください。

西本鶏介先生からのコメント

JOMO童話の基本的なテーマはあたたかな心のふれあいです。
それさえ守っていただければどんな題材でもかまいません。
大切なことは何を書くかではなく、いかに面白く書くかです。
いちばんつまらないのは、だれでも思いつくような発想や描き方をした類型的な作品です。
童話だからといって動物をやたらと擬人化したり、ファンタスティックなお話にする必要はありません。現実を舞台にした人間のお話だって、いくらでもすぐれた作品が書けるはずです。
素朴であっても、いきいきと泣き笑いのできる作品、空想のできごとが本当のできごとのように思える作品、みずみずしい感性のイメージ豊かな作品、個性的でありながら誰もが共感できる童話、そんな童話を待っています。
人を感動させるためには、みずから感動できる心が必要です。
なにげない風景や人間の姿にも童話になるものはいくらでもあります。
時にはじっくりと眺めてください。

立原えりか先生からのコメント

童話を書くとき、ストーリーから考えてはいけません。読む人を楽しませたい、驚かせたい、感心させたいなどと望んでもならないのです。
大切なのはストーリーではなく「思い」。子どもや猫を可愛いと思い、花や月を美しいと思い、ひとりぽっちは寂しいと思う、心が感じたことを書かなければなりません。
可愛いと思った猫は、いつ、どこで、何をしていたのでしょうか。
なぜ、可愛いと思ったのでしょうか。経験したことを素直に書いていくだけで童話が生まれます。つけ加えたいのは空想です。
それも大それたものではなく、猫が話相手になってくれたらとか、仕事に出ているあいだに部屋を片付けておいてくれたらとか、身近な空想の方がまとめやすいはず。
空を飛んで雲の上に行ったり、ドラゴンと戦ったりする話が悪いわけではありませんが、ストーリーが複雑になると、二千字以内におさめることはできなくなってしまいます。身近でシンプルで、思いがあふれている作品に会いたいです。

角野栄子先生からのコメント

「もしかしたら・・・・」
「あら!」って、なにかに目がとまったら、それを大事にしてください。
もしそれが芋虫だとしても、そこからお話がはじまるのです。
そしたらまず芋虫の言葉を覚えなければなりません。言葉がなければ仲良しになれませんから。
その言葉は「もしかしたら」という気持ちから始まります。「もしかしたら」といろいろ想像してみること。だれでもこの想像力というすばらしい力は持っています。
「そんなこと、ありえない!」なんて、思わないで、自由な気持ちで、広げて行くのです。
目に見えることだけでなく、見えない世界にも心を動かしてみるのです。
きっと思いも掛けない発見があるでしょう。お話は自由な気持ちがなければ生まれません。
でもとかく「これはこうゆうもの」という固まった気持ちにとらわれて、なかなか自由になれないのです。「笑われないかしら」「こんなことあり得ない」とまわりを気にしないことです。童話は芋虫とだって、空の雲とだって、仲間になれる、果てしなくひろい世界なのです。
自由に、何よりも自由になって、だれのためでもない自分のために書いてみてください。
きっと楽しい発見があるでしょう。