わたしはどんぐりの木、いつも子どもたちを見守っている大きな木。これは、わたしがどんぐりの実だったときのお話。
 ぼくたちが、木から落ちるときがやってきました。この時期になると、北風さんが、ぼくたちを落としに来てくれますが、なかなか来てくれませんでした。
 ある朝、遅刻した小学生のように、慌てて北風さんがやってきました。
「待たせたな、どんぐり坊主。さあ、落とすで〜。」
 と、言い終わると同時にビュー≠チと強い風が吹きました。
「わあ〜。」
 次々にみんな落ちていきます。
 でも、ぼくは、落ちませんでした。
「北風さあん、ここだよ。落としてよ。」
「よっしゃ。じゃ、もう一回行くで〜。」
 北風さんは、もう一度吹いてくれました。
「ビュー。」

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