ある日、一ぴきのねこがいました。そのねこは自分の名前をわすれてしまっていました。
 ねこは、
「ぼくは、だれだろう。」
 と、毎日毎日思っていました。
 それから数か月たったときのこと、けむしのききと出会いました。
 ききは、ねこを見るのがはじめてだったのでびっくりしました。ねこも、けむしを見るのがはじめてだったのでびっくりしました。

 ききは、ききました。
「きみは、だれ?」
 ねこは、
「ぼく自分の名前わすれちゃったんだ。だから、今はぼくの名前はないよ。」
 と、いいました。
 ききが、いいました。
「たいへんだよ。どうしようね? あっ、そうだぼくが名前をつけてあげるよ。」
 と、いいました。
 ねこは、
「うん、わかったよ。で、ぼくの名前はなに? 早く教えて。」
 と、いいました。

 ききは、
「えっとね、えっとね、あっ、そうだ、きみの名前はそらだ!」
 ねこは、
「うん、それがいいよ。そら、そら、そら、そら、そら、そら、そら、そら、そら、そら、うん。そらっておぼえたよ。ありがとね、けむしくん。」
 と、いいました。このときのそらは、ききの名前をしらなかったので、けむしくんとよびました。

All Copyrights reserved by JAPAN ENERGY CORPORATION